ドキュメント(記録)映画の作り方

ドキュメンタリーとは、歴史的出来事や教育、産業、社会的問題などをテーマにした作品のことでエンターテイメントとは違っています。リアリティーを追求した映像作品と言えます。

では、長編から短編まであるドキュメンタリー作品を制作する段取りはドラマと同じプロセスが必要でしょうか。

つまり、映像制作におけるドキュメンタリーを直訳すると記録映像ですから、本来ストーリーや演技などに重点を置いたドラマと違い、「今起きているものをありのままに撮影し一つにまとめる」ものを指します。

ドキュメント作品の撮影には、企画書もシナリオもないのでしょうか?

答えは、ドキュメント作品の撮影のシナリオや企画書の重要度は、その内容によって異なりますが、簡単なドキュメント(記録)では、撮影・制作ための原稿を作るなどは基本ありません。なんだ誰でもできるのね。。。と思いがちです。

そこで重要なことがあります。今起きているものをありのままに撮影すると聞くと。

よくニュースで素人がスマホなどで撮影した火事現場の映像動画が使用されよね。

あれは動画には違いありませんが、単なる記録です。火事の規模やどんな場所で何の建物なのか、といった事がわかる資料映像です。この資料映像が悪いのではありません。

 撮る人マインドがここには無いので、見ているほうの心には響きません。

 つまり、おもしろい事に出会ったから、それを延々と撮ったら面白いと思うでしょうが、いくら上手に撮った動画でも、心に響くことはありません。

ではプロのドキュメントはどう撮っているのでしょうか。

 

説明の前に、一般的に見るドキュメンタリー作品をジャンル分けすると、大きく分けて

1)動物等のネイチャー、

2)歴史ものヒストリー、

3)人間社会のドキュメント、などに分類できます。

ドキュメンタリーに企画書やシナリオが必要かどうかは、作る監督次第です。

理由は、時事ネタであれば制作中に大きく状況が変わる事があり、撮ってから後で考えるという方法もできるからです。そのため、ドキュメンタリーを撮影している時は次に何が起きるかわからないので、監督や撮影カメラはどんな状況になっても、その時に起きたハプニングや会話、インタビューなど十分に映像を記録できるような心構えが必要になります。

では、やはり台本程度はないのでしょうか?

 

ラフな構成案作成と同時に作品の目的を決めることが大切です。つまり企画書のようなものです。

そこには、何をテーマに何を訴えたいか、見る人に何を感じてもらうのか、その被写体はいつ撮れるのかなどを想定します。

実は、プロの場合、ドキュメント映画やTV番組では、情報を集め撮影できるであろう事を想定したラフな構成案(台本のあらすじのような、番組の内容の流れを簡単に想定したもの)とスケジュールを立てます。

つまり、全くぶっつけで撮影したのでは、火事場の動画と同じになってしまいますし、編集しても作品としては完成しないでしょう。

何気なく見ているプロが作っているテレビ番組にはテーマと視点というものがあります。

 一言でいうと「何を伝えたいのか。」ということです。

プロが撮る時は、必ず伝えるテーマを元にした視点でたくさん撮影します。意味もなくたくさん撮ってはいません。撮った映像からテーマに向いた素材を抜粋し編集していきます。

撮影する量は完成番組の数10倍ほども撮影してるケースもあります。

ただし、何をテーマにしたいのかが無いと、どんなに上手に編集しても、ただの記録、ニュースの火事場になってしまいます。

​そこで、大まかに3つの作り方があります。

1)テーマを決めてから撮影を始める​

最終的にどうなるか分からないが、作品を作ってみたい!という人はテーマを一つ決めましょう。そうすれば全体的なイメージは出来てなくとも、撮影を始めれば、なんとかなると思います。

TV番組の時事ネタや社会派ドキュメントにはこの撮影方法が多いと思います。

ある程度撮影が終わったら後は確認しながら編集で、一つの作品としてテーマにそってまとめていくのです。

足りないと思ったら追加撮影したり、インタビューシーンをしたり、ナレーションで説明したり

することで完成に近づけます。

2)情報収集をしながらドキュメンタリーの方向性を考えて計画を立てる

脚本はないが、ドラマ作品のようにある程度計画を立て撮影をしたいと思う場合は、

徹底したテーマとトピックスなどの情報収集から始めます。

ドキュメンタリーはノンフィクションです。作品の多くは一つのテーマまたはトピックを紹介する

途中で白と黒、善と悪のような関係性を対比した構成になることが多いです。

その観点から、どんどん情報を探しているうちに面白い発見が生まれます。そこから方向性がきまりアウトラインやコンセプトのしっかりした作品が完成していきます。

3)脚本を作りドキュメンタリーを撮影する

しっかりとしたプランを練ってドキュメンタリーを作りたい場合には、シナリオをつくる所から初めることも出来ます。

ドキュメンタリーのシナリオはドラマと違い、一般的に2つのフォーマットで作られることが多いです。左側に「映像」そして右側に「音声」の項目があり、映像にはどのような画面かなどの詳細、音声にはナレーションやインタビューの質問等を入れておきます。

作品の最初から最後まで書かれているので、制作するドキュメンタリーの全てが分かるだけではなく、画面や質問内容など必要な情報をシナリオに含めるので、制作する過程で便利なものと思います。歴史的なドキュメンタリーや再現映像を多く使った作品を作る場合にはピッタリです。

シナリオを用意するのは、ジャンルによって最終的に違うものになったり、リアリティー物だと何が起きるか予想ができないので、制作するジャンルによってシナリオや企画書を作るか作らないかを検討しておくと良いでしょう。

ただし、ドキュメンタリーも作品です。

多くの人に見て頂くために面白くする必要があります。そのためにはストーリーが重要になってきます。

ノンフィクションなのに、ストーリーが必要なの?と思ってしまいますが、ノンフィクションは撮影被写体として多くの人が絡んでくるので、リアルなヒューマンドラマを描くことと同じ事になります。

NHKのプロジェクトXを例にみると、シナリオの中に人物の「発端、苦悩、成功」の3つが描かれています。

これはストーリーを作る際に役に立つ起承転結・三幕構成の「設定、対立、解決」と全く同じで、ドキュメンタリーを作る上でも観客が引き込まれるように映画で良く使われる三幕構成をそのまま取り入れているのです。ストーリーが出来ていないものだと、ただの記録映像になってつまらないので三幕構成を意識して計画を立てていくと良いと思います。

 

ドキュメント作品とは、人は生きている限り毎日ストーリーがあり、悩み喜び、感動があります。

その中で、どのストーリーを切り取るか、ということでしょう。

 

もう一つ、面白い作品を作るコツは。。。

みている人に何を感じてもらいたいか、どんな気持ちになってもらいたいか、

1)自分の人生と比べて色々今後を考えさせるのか、

2)怒りと緊張感を与えるのか

3)地球の深刻さを考えさせるのかなど

  • 良い作品が出来ないのはカメラが悪いとか、撮影が下手とか、技術テクニック的なせいにしてる人が多いです。よし悪しの判断が技術中心のところにある限りは、見る人の心を引きつけることはありません。みている人に何を感じてもらいたいかがを考えましょう。